比較的日本語の文章を書く機会の多い人にとって、有料のATOKを選ぶか、それとも広告無しで無料のGoogle IMEを選ぶかは、悩ましい問題です。
数年前までであれば、変換効率は圧倒的にATOKが有利と言われていましたが、最近ではGoogle側もほぼ引けを取らないところまで精度が向上していると言われています。実際、この文章はGoogleIMEを使って書いていますが、日常的な文章を扱う限りではかなり優秀と言わざるを得ません。機能面ではほぼ互角といって良いでしょう。
超私的なインターフェイスの好みの違いはこの際一旦おくとして、あえて有料版のATOKを使い続ける人の心中に、「何もかもGoogleに身を委ねてしまってもよいのだろうか?」という疑念が多かれ少なかれあることは、間違いないと思います。かくいう私も、Googleという超巨大な情報統合企業を全面的に信頼できない一人です。そういった情報管理リスクを分散・回避するために、ある程度の金銭的負担はやむを得ないという考え方の持ち主は、今の世の中、おそらくは絶滅危惧種と言えるのかもしれません。
しかし、それでもジョージ・オーウェルの『1984』を一度でも読んだことがあれば、「ニュースピーク」に知らず知らずのうちに染まってしまうことの恐ろしさをどこかで感じていることでしょう。
「タダほど怖いものはない」。資本主義が支配する世の中に生きている限り、この格言はどこまでも有効であり続けます。